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「この世界の片隅に」を見て(5)〜オタ女、被爆地へ ?〜

で、オタ女なので、広島引っ越し前後にもこそこそとオタ活動はしていました。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012年11月公開)を映画館へ観にいったり、『月刊アフタヌーン』で鶴田謙二先生の「冒険エレキテ島」を楽しみに読んでたり。

あと「たまゆら」といえば、第一期の放映時期(2011年10月3日−12月19日)にも第二期の放映時期(2013年7月3日−9月18日)にも、たまたま広島に行っていて、気づいて「なんだよ、わたしどんだけたまゆら大好きなんだよ」ってなりました。

“広島アニメ”という括りで見ると、「この世界の片隅に」と共通点もある「たまゆら」なので、中には自分も観てたよという方もいらっしゃるんではないでしょうか?

佐藤順一監督、キャラクターデザイン飯塚晴子さん。脚本に「おジャ魔女どれみ」の吉田玲子さんも参加されている、とても心なごむアニメなのです。

たまゆら」の舞台は広島県竹原市

かつて竹原に住んでいた“ぽって”という少女が、父の形見であるローライという年代物のカメラといっしょに竹原に戻ってきて、幼なじみのかおる、のりえ、麻音らとともに、竹原の高校で新生活をはじめるというお話です。

第一期放映中に立ち寄った竹原はとてもいいところでしたよー。

佐藤監督と“ぽって”を演じる声優の竹達彩奈さんをはじめ、キャストさんや製作スタッフの方々のひとこと短冊やサイン入りポスターの展示も見せていただくことができました。

これ書くためにもっかいDVDで見直してほんわかしてました。さよみお姉ちゃん天然きゃわわ、ちひろちゃんええ子や……。

まぁだいたいこんな感じで、2013年には東京に戻っていたんですが、その年の7月には広島のSF大会「こいこん」(2013年7月20日-21日)参加のためにまた広島に行きました。

コンパック会場は平和記念公園のすぐ近くだったので、二日目の早朝にはじめて一人で平和記念公園を歩いて回りました。アンネのバラも写真に撮りました。

「こいこん」会場だった舟入アステールプラザでは、大ホール出口近くで、なんとなんと『ねじまき少女』の作者パオロ・バチガルピらしき人物とすれちがいました!!

微笑みを浮かべて颯爽と歩き去る姿がまさにアンダースン様という雰囲気でした。うっきゃー。

このとき『Gene Mapper』の藤井太洋先生と対談企画があったんですよね。(スーベニアブックを引っぱりだしたところ企画名が「Windup mapper 対談 パオロ・バチガルピ vs 藤井太洋」だったことが確認できました。)

また、バチガルピ作品に関しては、前年 (2012年)の星雲賞・海外長編部門を『ねじまき少女』が受賞しており、この年の星雲賞・海外短編部門に短編集『第六ポンプ』所収の「タマリスク・ハンター」がノミネートされていました。

「核なき世界」を唱え、核兵器廃絶へ積極的な施策を推し進めていたオバマ米大統領政権下で追い風が吹いていたであろうとはいえ、第一線で活躍中の人気アメリカ人作家の広島訪問は、心理的にはわりと勇気がいったことと思われるので、思い返すと少し驚きです。

中国での勤務経験もあり、エキゾチックなムードの近未来ディストピアSFを得意とするバチガルピならでは、のアクションだと思います。

この世界の片隅に」公開に先立つ2016年5月にはオバマ米大統領の広島訪問が大変話題になっていましたが、実はそれより4年早く広島にバチガルピが来ていたことも、思い出されていい気がしたので書いてみました。

(わたしごときがこんなことを言うとなんかえらそうで申しわけないのですが。)

……とりとめなく書いてしまいました。

このへんでいったんまとめ。

だれだって何かものごとに取り組んでいる間は、わざわざ引いた視点で“そのことに取り組んでいる自分たち”を見ようとは思わないし、一時の感情にしたがって行動を決めてしまうことだってもちろんありますよね。

というわけで、わたしも広島にいた間は、生活やオタ活動のことで頭がいっぱいで、いちばん大事なことについて考えようとはしていなかったのでした。

わたしの立った町が、世界最初の被爆地であり、戦後日本の平和教育に大きな役割を果たしてきた、広島だったこと。

あのころ、といってもほんの5年前ですが、もう少し大きな視点を持ってものごとを考えることができていれば、という心残りもあります。

ただ、そこまでを視界にとらえつつ、しかも身近な人たちとの日々の生活を丁寧に営んでいけよ、というのは当たり前に見えてかなり大変なことで、未熟なわたしにできないことだったとしても無理からぬところがあるのかなと思います。

2016年11月公開の「この世界の片隅に」を観て考えたのは、だいたいそんなことでした。

すずさんはかわいげの中にもタフさと聡明さを兼ね備えた女性ですよね。

現代の生きにくさにため息がちの自分には、物資不足や空襲といった戦時下の日常の重い現実にもひるむことなくひたすら行動を続けるすずさんの姿がまぶしいヒーローのように見えます。

この世界の片隅に」という名作アニメ映画の主人公であるすずさんは、まさに銀幕に揺れる一輪の野の花といえるでしょう。

(文中一部敬称略)